開いた扉 短編
男(女装子)×男
『鏡(キョウ)先輩』男・17歳
『律(リツ)』男・16歳
興味を持った方は続きから
元々、僕は先輩に惹かれる部分があったんだと思う。
同じ男同士なのに先輩を見て感じたのは、綺麗とかそう言った類の感想だ。
細身とは言っても僕より背が高いのに。まあ普通かそれより少し高いくらいで、僕が低いだけなのだけど……。
黒く長い髪を後ろで束ねたそのシャープな、でもほんの少しだけ垂れ目気味な横顔は、童顔丸顔で茶の掛かった癖っ毛の僕とは到底違っていて、本当に同じ男なのかと疑問を抱くほど見惚れてしまう。
白い肌、長い睫毛、涼しげなのに何故か時折ドキっとしてしまう色気。
それが僕の通う桜北学園の副生徒会長、新宮寺鏡(シングウジ・キョウ)先輩―――。
◆
「綺麗な部屋ですね」
「そう?殺風景じゃないかな?」
「いいえ…先輩らしい、シンプルだけど華があると言うか」
白を基調とした壁に、黒の家具…と言っても、机とベッド、壁に取り付けられた本棚だけ。そのシックな色合いがとても大人な感じがして、如何にも先輩らしい部屋だと思った。また、佇む制服姿の先輩が、とても部屋に合っていた。
「ふふっ、褒めても何も出無いよ?お茶くらいしか♪」
こちらを見て微笑んだ先輩にまた少しドキッとした。たぶん、少し僕は赤くなった気がする。
「淹れてくるから気楽にしてて、律(リツ)くん。あ、ミルクティーで良いかい?」
「あ、はい。お願いします」
パタンと閉じた扉。先輩の後ろ姿が消えると、寂しい様な心細い様な気すらした。
初めての部屋だから仕方ないのかもしれない。
桜北学園は少し変わってて、必ず一年生も二学期から生徒会見習いとして生徒会に参加させられる。もちろん、希望しただけでは駄目で、成績や生活態度等を基準に先生や生徒会の推薦が必要なのだけど。
当初僕は興味無かったが、二年生で副生徒会長に選ばれた鏡先輩を見たとき、惹かれるように応募してしまっていた。
そのときまで、実は僕と先輩はそんなに面識が無かったのだけど、後から先生が先輩の口添えもあって僕も選ばれたと聞いたときは内心凄く嬉しかったのを覚えている。
そんな憧れの先輩が、押している雑務処理の為とは言え僕を部屋に招いてくれた。だから既に緊張しっぱなしで、それに加え先輩の姿が見えなくなったから落ち着かないのだ。
何だろう……男の部屋って、こんなに良い香りがするものなのか?くんくんと犬みたいに鼻を鳴らしてしまう。ちょっと馬鹿だと自分でも思ったけど。落着かず視線もあっちこっちに飛んで―――
だから僕は見つけてしまった。扉の閉められたクローゼット。その扉の隙間から、少しはみ出していた黒の生地と白いレースを。
不思議だった。部屋の色合いと同じ様な服の端。僅かだけど、でも、明らかに男物とは思えないそれ。
何故か伸びた指先はそれを掴み取り、瞬間―――力を入れずとも静かにクローゼットの扉は開かれた。
「こ…これって……!?」
掴んだ服の端、袖部分からその先に目を這わせる。それは、身近な物ではないのだけど、知識として知っていた物。
よく漫画とかアニメで見る様な、女性用の真っ黒と白のレースが合わさり合ったゴスロリと呼ばれる服。
何でこんな物が?驚きうろたえ泳いだ視線はクローゼットの中身を更に映す。馴染みのある服は一枚も映らなかった。
似たような形、でも色はピンクが主体の服やエナメル生地の黒いコルセットの様な物まで。
開かれた扉から見えた物は、全て女性用の服装。
「……見つかっちゃったか」
心臓が喉から飛び出そうになる。
声のままに振り向くと、そこにはティーセットを持った先輩が佇んでいた。少し困ったような笑い顔で。
「あ、ち…違うんです!服が挟まってて、それで、それを持ったら扉が…も、持ったのもほんと何でかわかん――」
「良いよ、そんなに慌てなくて」
先輩は手にしたティーセットを机に置くと、僕が未だに袖を掴んだままのゴスロリを取り出す。
「今さら隠してもあれだしね……うん、僕が着るんだよ」
恥かしげに、少しだけ頬を染め先輩が口にする。その顔を僕は黙ったまま、じっと見つめてしまった。
何でか解らないけど、言葉を出すのを忘れたみたいに。
「引かれちゃったかな?」
「…そ、そんなこと…ぜ、ぜんぜんっ、ほんとです!」
凍っていた僕の唇は、先輩の一言で一気に溶けた。引くとか、先輩をそんな風に悪く思うなんて無いと言いたげに。
「本当?良いよ、素直に言ってくれれば」
「ほ、本当です!む、むしろ……」
出し掛けた言葉を遮る様に再び唇が凍る。自分でも何を言い出すのかと心臓がバクバクした。むしろ僕が引かれるんじゃないかと思えて。
「……むしろ…見てみたい?」
悪戯を思い付いた子供の様に、クスッと先輩は笑った。少し赤らんだその表情が僕を擽る。
自分でもビックリするぐらい身体が熱くなる。
「え…あ……はぃ……」
どうしても声が小さくなっていった。先輩の女装姿が見たいなんて……何言ってるんだと自分でも恥かしく思えたから。
思わず下を向く。今の顔を先輩に見られたくなくて。
―――と、耳元で響く囁き声。
「良いよ、少しだけ……そうだね、ベッドで頭から布団被っててくれるかな?」
「……はぃ」
言われるがまま、僕は先輩のベッドの上に転がると、頭から布団を被る。
「熱く無い?」
「だ…大丈夫です……」
思わず口にしたけど、実は凄く熱い。体中が。先輩の匂いが凄くする。
布団で熱いのか…違う何かで熱いのか……自分でもよく分からないまま布団の中で目を閉じていると、
「ふふ~ん♪」
微かに聞こえて来た先輩の鼻唄。楽しげなそれを耳にして、また僕の体の熱が上がっていった。
◆
「良いよ~」
10分くらいだろうか…もっと長かったのか、それとも短かったのか?
熱でぼーっと緩んだ頭は、それを見て更に熱を上げた。思わずベッドの端に畏まって腰掛けてしまう。
ゴスロリを着込んだ先輩の後ろ姿は、それだけで美しいと感じた。
ゆっくりと、先輩がこちらを振り向く。
「ふふっ…なんか、恥かしいね……」
少し染まった頬。でも、さっきまでと違った。お化粧の色が少し混ざっている。
元より綺麗な肌が更に透明感を出し、赤い口紅を際立たせ…瞼に乗った凄く淡い緑と、その縁(フチ)を彩る澄んだ黒が眼元を強くする。
「………(ごく)」
思わず僕は息を飲んだ。後ろ姿とは全然違う先輩の姿に。
綺麗や美しい……そんな感情を当たり前の様に抱くと思っていた。
でも全然違う。何よりも先に―――色っぽいと思った。
何故か少し、身体が震える。さっきまで…いや、今も身体と頭の中は熱いのに。
「やっぱり……引いちゃった?」
「………。」
もう顔を横に振るしか出来なかった。唇が声を通してくれない。喉に張り付いてる。
そんな僕を見て…先輩が笑った気がした。ううん、実際に笑ったんだと思う。
でも、それ以上に僕は…先輩が舌舐めずりをしたように見えてしまった。
ゆっくりと近付いてくる先輩。ゆっりと歩む姿は、少し蛇を連想させ―――
「どう?」
気付いた時には、もう僕の隣に腰掛けていた。
「……あ、その…き、綺れいっっ!?」
ぴくんと揺れ声が裏返る。何で?どうして??
「あ…あ……」
「ふふっ、大きい♪」
先輩の細い指が、いつの間にか忍びより僕の股間を弄(まさぐ)る。
自分でも無意識のうちにそこは、今までに無いくらい大きくなっていて、
「凄い♪びくびくしてる❤」
「あ…んっ……」
長い指が僕のそこのカリ裏を纏わり付く様に這いずると、吐く息と共により大きくなっていく。
そのまま、ゆっくり、制服のズボン越しに先輩は指を絡め包むと上下に動かし始めた。優しい動きで。
「はぁ…あぁ……」
「どう?」
耳に熱い息が掛かる。そして僅かに低みのある艶を含んだ声が届いた瞬間、ビクッと身体に力が入る。痺れた身体は動かせない。
なのに……視線だけが……絶対に駄目だと、見たら駄目だと念じるのに……先輩を横目で探し―――
「あっ……」
もうバクバクと心臓が熱い。
長い睫毛が触れそうなくらい近い距離に先輩は居た。
潤み蕩けたような瞳が僕を見つめ続け、ペロりと舌が唇を舐め濡らす。
見たことは無いけど、娼婦とはこういった表情をする女の人なのだろう。
でも明らかに違うのは、女の人の顔なのに…女の人の顔では無かった……。
確かに先輩は元々綺麗だし、今の化粧を施した顔は女性顔負けの美貌だ。
長い睫毛が更に濃くなり色っぽく本当に女性の様で……なのに何故か男を感じさせる。
女の人よりも綺麗で淫靡な、女の人みたいな男の顔。
そんな不思議な顔で唇をあげ笑うと、ふっと先輩は僕の顔に息を吹きかけた。
交差した瞳を、僕はもう自分の力では反らせない。
「律っくん、気持ちイイ?」
「…んぁ…ふぁぃ」
じんじんと頭は痺れ、口が上手く動かせなかった。
ただただ、擦られるままに、体中を蕩ける様な感覚が襲いかかる。
ズボン越しなのに僕の大事な処は、熱いくらい先輩の肌の熱を感じ取った。
そのまま、包まれたまま指先で亀頭を擽られると――
「んっ…はぁ……」
もう、その指先に合わせて息を吐くしか出来ない。熱い。あそこも、頭も、喉の奥も。
「律っくん、可愛い♪んむ❤」
「…んんっ」
「ん❤んんっ❤」
熱い…口の中全部を、熱い先輩の舌がなぞっていく。歯の裏、舌、上顎の裏まで。
初めてのキスは、僕の全てを奪い舐め取るような熱いディープキス。しかも同性相手の。
だけど僕は―――
「ん❤…はぁ❤」
「…ぷはぁ…ぁ」
「ふふっ、もうトロトロの顔してるね❤」
こくんと、先輩の言葉に首が勝手に頷く。頭の中は真っ白でくらくらと揺れて、でも熱くて。
正直言って、もうずっと前から、ずっと……
「気持ち良くてイキたくなっちゃったかな?」
「…はぁ…ぁっ」
声を出そうにも荒い息しか出無くて、だからもう一度、頷く。
「良いの?男の僕にイカされちゃって❤」
そう…先輩は男。でも、長い睫毛の下から覗く潤んだ瞳からもう目が離せない。
頭の中がぐるぐるする。どうして良いのか解らない。考えられない。
「ふふっ…んむ❤」
「んんっ…ん…」
「…はぁ❤」
「んあぁ…」
つうっと、視界の隅で僕の唇から先輩の舌の先までを唾液が光りながらアーチを描くのが見えた。
さっきまでより、指が、ずっと僕を弄る。されるがままに僕は昂り震え―――でも、急にまた弱く擽り始めて。
「あぁ…はぁ……ぁぁ…んっ…ふぁぁ……」
「どうしようか?イキたい?それとも男じゃ嫌かな??」
もうさっきから何度かイキそうなのに、ずっとイケなくて、熱いのがずっと下半身に溜まり続けてる。
あと少しなのに……それしか考えられなくて……。
「んはぁ…せん…ぱぃ……ぁ…い…き…た…ぃ……」
「男の僕に手でされてイキたい?」
もう、涙が出そうなくらい頭の中をぐるんぐるんと先輩の声が掻き回すままに、僕は頷いた。
「ふふっ、いっぱい出して❤」
「あぁっ…」
『びゅぐっ…』
「んはぁぁ…あぁ…」
「びくびくしてる❤」
どくどくと、包まれた先輩の掌目掛けて僕自身を吐き出す。
気持ちイイ…腰が抜けそうなくらい……止まらない。
パンツだけじゃなくズボン…ううん、先輩の手まで汚すほどに精液が出ていく。
『びゅっ…ぐちゅっ』
「ふぁぁ…ひっ…あぁっ…あっ…」
それなのに、全てを出して尚、先輩の指は僕を絡め取る。
「いっぱい出したからぐちゅぐちゅだね❤」
精液が染み込みヌルヌルとなったパンツが更に僕のモノを包み込むと。
それをより巧みに先輩は操り時折指先で、出して敏感なままの亀頭を弄る。
「んひぃ…あ…あ……んぁっ……」
「出したあとって凄い敏感で刺激強いけど…でもヌルヌルで気持ちイイよね❤」
「はひぃ…んぁ…あ、あ、あ―――」
気持ち良い…気持ち良いよぉ……止まらい。ずっと熱くておかしくなる。
「男同士だと、どこをどうすれば気持ち良いか解るから❤」
僕と同じように、はぁはぁと熱い息を吐きながら先輩は嬉しそうに話す。
「また出ちゃうかな❤」
「あぁっっ……」
…もぅ……だめっっ!!!
『どびゅっ』
「いっぱいでた❤もう手までベトベトになちゃったよ?」
「あぅ…んぎぃ…あぁっ――」
もうあそこだけじゃなく、身体全体もビクビクと激しく脈打ち痙攣する。
血管の全てを大量の血が流れ滾(たぎ)らせる。
熱くなり過ぎた亀頭がジンジンと痺れ痛いくらい。
でも、塗りつけられた精液がそれを和らげると、また先輩の指のままに震えていく―――
もうイってるみたいなのに、強い刺激と感覚で出せず、また激しく痙攣する身体。
「あぎぃっ、あ、あ、んぐぅ…んぁぁっっ」
「あは❤さすがに厳しいかな❤」
そう笑うと、先輩の手の動きは急にとても優しくなった。
「あぁ…んぁ…あぁ……」
刺激を与え過ぎない様に、柔らかなタッチで熱く腫れあがった僕を包み扱く。
ぴくぴくと、心地良い指触りで身体から力が抜けると、二度も射精した疲労感も合わさり、僕は背中からそのままベッドに倒れこんでしまった。
それでも構わず動く先輩の指先のまま、身体が勝手に震えぴくんと跳ねる。
「気持ちイイよね、男にして貰うのって❤」
「…んぁっ!?あ…あ……」
ぬちゃりと先端を擽られまた跳ねた。されるがまま、昂った声が漏れてしまう。
そんな僕を嬉しそうに見つめ、先輩はまた覆い被さる様に唇を重ねる。
「ん❤んむっ❤」
「んっ…んんーーっっ!?」
『びゅくっ…びゅく』
「んぐっ…んんっ……ん…ん……」
突如荒くなった指先で、再び僕は射精してしまった。
それでも止まらず、尿道の奥から全部絞り出す様な指の動きで弄ばれ、本当に全てを出しきると――
「ん❤…んはぁ❤」
「…はぁ…あぅ…」
また、柔らかく動き出した手によって力の抜けた身体を震わせるだけ。
何度も何度も、僕のモノを包んだ手の動きに合わせ、ヌチャヌチャと精液の染み込んだパンツとズボンが音を立てた。
『ぐちゅ…ぬちゃ……』
「…んぁ…あ…ふぁ…」
聞こえるのは、僕の肉体が上げる小さな声と、精液の音のみ。
それだけの音が反響する脳内に…別の…蕩ける様な新しい音が混じる。
「だって、おちんちんのどこをどうすれば良いのか解ってるからね❤」
指の感触でなのか、それとも先輩の囁く声でなのか……
解らぬまま、ただ僕は、駆け巡る疼きで震える身体のままに……こくんと一度頷いた。
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