飴毒 短編
女×男
『裕美』女・21歳
『コタロウ』男・18歳
興味を持った方は続きから
「もう、本当に一時はどうなるかと思ったのよ?」
柔らかな声で裕美は語りかけた。
黒と赤を基調にした調教部屋内。ソファー深く腰掛けるその姿は、声と同様以上にゆったりとした佇まいだ。
見下ろす瞳も潤みを帯びていて機嫌の良さが伺える。
鼻唄すら時折混じるほどに。
「でも最終的には御行儀良くできましたね♪」
昨夜を思い出し裕美はフッと微笑むと、まるで子供をあやす様にコタロウの頭を優しく撫でた。
この部屋に戻ってきたのは今朝と言っても過言では無い時間。
二人とも戻るやいなや泥の如く眠りこけてしまった。
あれから数時間。目を覚ました裕美はシャワーを浴びると、まだ目覚めぬコタロウを起こし同じ様にシャワーを浴びさせる。
そして浴び終え出て来たコタロウを、ソファーに腰掛けた自らの膝の上に来るよう命じたのだ。
服を着させる事なく全裸のままで。全裸のままの自分の上に。
幼子がお尻叩きのお仕置きを受ける姿勢で。
丁度、一時間ほど前のこと――――。
今、頭を撫でられているコタロウは……残念ながらこの感触を覚えていることができないだろう。
裕美の声すら届いているかどうか。
膝の上で、惚けた締まり無い顔を晒し続けながら息を漏らす。
「…んぁぁ❤んひっ❤」
ピクピクと小刻みに痙攣するコタロウを、裕美は触れ合った肌から感じ取った。
それだけでなく、新たに生温かい感覚も。この一時間のあいだ、何度と感じた感覚だ。
「あらあら、また出しちゃったのね♪」
それでも、コタロウのアナルに侵入した裕美の指は動くのを止めない。
ずっと……もう一時間も蠢き前立腺を的確に刺激し続けている。
つまりコタロウは――― 一時間以上、連続でイキ続けていたのだ。
緩く長く、それこそずっとふわふわ脳を快楽の波間に浮かばされて。
最初の数度は喘ぎ、それを過ぎるともがきに変わる。
だが、もがく間ですらイカされ続け精液を指の動きのままに圧し出された。
それでも止まらぬ指に四肢の力は抜け、抵抗もできなくなっていくと―――
「あへぁ…❤…んぁ、あはぁ❤」
「ふふ、気持ち良過ぎて頭の中溶けちゃうでしょ?」
裕美の言葉通り、もう脳は蕩けきり思考を止めてしまっていた。
止めさせられたと言うべきか。
延々と無理やり湧かされる快楽物質に呑みこまれて。
「このまま、ずうっとしてましょうか?痴呆になっちゃうかもしれませんけど♪」
大袈裟でも無いだろう。
休まること無くイキ続け快楽漬けなった脳は中毒を通り越し狂い壊れてしまう。
アナル狂いどころでは無い。そうなったら廃人と変わらないだろう。
裕美の指使いならそれも可能なのだ。
「まずは……くだらない、コタロウには不必要な思考から忘れましょう」
狂おしいほどの痴態で火照った脳や肉体。
だがそれも、狂い切らなければ時間の経過でやがて薄らいでしまうだろう。
昨夜のポチと過ごした時間も同じだ。
確かに一時的にタガが外れはしたが……元はノンケの男に受け入れ難いホモ行為。
一度だけでは脳と肉体に定着しない。
ぐっすり眠り起き、シャワーを浴びて冷静さを取り戻してしまえば快楽と共に再び嫌悪感も浮上する。
その一度浮かんだ嫌悪感はズレや歪みの連鎖を生み出しかねなかった。
「ふぁぁ…❤んぁっぁ、あぁ❤」
だが、もうそれも二度と浮上することは無いだろう。
熱を持ち激しく動悸する身体。
白くぼやけ続ける視界。
精液はおろか涙や涎も拭うことすらできず垂れ流し続け、遂には―――
「あはぁ~❤」
『ちょろろ……』
「もう、私の膝の上で……」
精液と違う生温かい感触が裕美の腿を濡らし拡がる。
しかし裕美は更に優しく微笑んだ。
「そんな悪い子は、もっと色ボケさせましょうか♪」
「んあぁ❤」
強く蠢いた指に圧され、コタロウから今以上に精液と理性、そして意識すら零れ落ちていく。
「オムツの必要な身体にしたことなら何度もありますけど……」
「あぅぅ…はぁん❤」
「介護の必要な身体にまでしたことはないですね、そう言えば」
見下ろす瞳の色が変わる。黒く深い色に。
だがそれも一瞬。再び柔らかに裕美は笑った。
「コタロウは私のお気に入りですし、廃人になるまで壊しきらないから大丈夫ですよ」
未だ止まらぬ指の蠢きが言葉の真意を覆い隠す。
ただどちらにせよ、今のコタロウにその言葉は届かない。
膝の上。脳内に届くは主から与えられる肌の熱と快楽のみ。
まだ暫く、コタロウの痙攣は止まりそうになかった―――。
テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト