去勢 短編
女×男
『志保』女・21歳
『モモ』男・29歳
興味を持った方は続きから
「なんかイメージと違うね~モモちゃんて」
屈託の無い笑顔で女はベッドに深く腰掛けた。
まだ若干の子供らしさが残る顔に僅かな化粧。健康的な小麦色の肌。
なのに妙な色気を醸し出すのは彼女の格好のせいか、それとも部屋のせいか。
ベッドこそ極普通だが、無機質な黒と赤で染められた部屋の壁には磔台が取り付けられ、部屋の中央には産婦人科こそ置き場に相応しい開脚式の診察椅子が置いてある。しかも御丁寧に手足を固定する枷付き。
そんな部屋で彼女は無邪気な笑顔を見せていた。
だがその笑顔も、彼女の青色で彩られたボンテージ衣装を纏っただけでこうも嗜虐的に感じるのかと思うほど、この部 に相応しい淫靡な気配を漂わせている。
今から始める行為に期待を募らせ彼女…志保はより笑顔を咲かせた。
「女装子って聞いてたから、もっとナヨっぽい感じかな?って思ってたんだけど」
志保は目の前で立ったままの男に、率直な感想を述べる。
出会い系で知り合った男。モモと名乗り、女装マゾとして調教して欲しいですと申告してきた男に対し。
優に180cmは有ろうかといった大柄な体型、服の上からでも筋肉質と思われる肉付き。だがマッチョなボディビルダーと言うよりかは格闘家と言った方が適切な引き締められたシルエット。
その体型に相応しい鋭い顔と目線。強面ながらも端正な顔をしてはいるが、俗に言うイケメンといった印象を抱くよりも前に怖いと感じられる方が多いだろう。短く刈られた金髪が、耳だけでは飽き足らず眉にまで付けられた大量のピアスと良く似合いそれを増長させても居る。彼と街で擦違う時は大半の人間が道を譲るのが想像に難く無い男だった。
「あはは、でもそんな見た目しててスイッチ入るとナヨるのもありかな?」
自分よりかなり年下の志保の言葉を、男は黙って静かに聞いている。
「ん~?もしかして緊張しちゃってる?モモちゃん♪」
微動だにしない男に対し、志保がベッドから起き上がり不用意に近付いた瞬間、それは起こった。
「うっせーよ、ボケ!」
罵声と共に伸びた手が徐に志保の頭髪を鷲掴んだのだ。志保自身、背は女子として高い方だがそれでもこの男とは10cm以上は違うため、簡単に男の手によって吊り上げられてしまう。
ブチブチと、短い黒髪の悲鳴が聞こえた。
「――っ、痛い……」
「俺が女装マゾ?そんなキモい訳ねーだろ馬鹿女」
ニヤニヤと男は髪を引っ張り上げ、痛みで歪む志保の前で嫌らしく唇を釣り上げる。
「お前みたいな身の程知らずの馬鹿女を俺好みに犯すのが好きなんだよ」
「……なっ、話が違――」
「他の奴等みたいにたっぷりお前も泣かしてや―――ぐぇっっ!?」
突如上がった鈍い呻き声。
男は最後まで台詞を吐くことを許されず、掴んでいた髪を離すとそのままゆっくり前のめりになる。
ボタボタと、込み上げてきた胃液が呻き声と一緒に口から滴り志保の背中を汚す。
男の鳩尾に、いつの間にか跳ね上げられた志保の鋭い膝がめり込んでいた。
止まる呼吸、何とか息を吸おうと足掻くも、くの字から動かせぬ身体。
下がった頭、その頭上から後頭部目掛け志保の肘が振り下ろされると、男の視界は一瞬にして光を失った―――。
「はーい、お目覚めかな?」
鈍い痛みの中で、まだ混濁する男の意識を志保の声が優しく引っ張り上げる。
一瞬濁り、そして徐々に鮮明になる記憶と視界。
「……ぐっ、ここ―――な、何だ!?」
起こそうとした身体はガチャガチャと鳴り響いた音に阻害された。
部屋の中央に置かれていた開脚式診察椅子によって。
しかも直ぐに自分が全裸だと知る。
「お…お前、あんとき何を――」
「ん?ああ、あれね。モモちゃんみたいなのってぶっちゃけ慣れっこなのよ」
睨みつけた男の視線を苦にする事無く、飄々と志保は口を開いた。
事実、過去にも幾度と襲ってきた馬鹿な男を返り撃ちにしているのだ。
その実績が、口調から、そして自身に起こった出来事から真実だと言う事を男は即座に理解できた。
「…くそっ、離せ!絶対このままだと後悔するぞ!!」
それでも、こんな状況なのに男は悪びれた様子も無く吼え凄む。
過去散々自分がしてきた行為から来る妙な自信のせいなのか、女如き何が出来ると言わんばかりに。
「俺を誰だと思って―――」
「誰でも良いよ?だって、モモちゃんはモモちゃんでしょ?」
「は?何言ってんだてめぇっ!?」
がなり上げられた声は虚しく部屋中に響き……男をまるで相手にする事無く志保は無邪気に微笑んだ。
「で……モモちゃんは女装マゾに躾けて欲しいんだよね♪」
ここで初めて、男はぞくりと背筋を震わせた。
何一つ変わること無く微笑む志保の目。純粋な喜びのみで満たされたそれを見て。
脳裏には、全く興味が沸かずむしろ反吐しかでなかったが、S女を騙す為だけに少し齧った知識が浮かぶ。
女装マゾ……喜んで尻を振り喘ぐオカマ野郎―――この俺が?
瞬時に頭を振って下らんとばかりに打ち消す。
凄んで吼えた筈の声は、僅かに擦れた。
「はっ、俺がそんなカマ――なっ、何だっ!?」
擦れた声は更に驚きで消える。
志保が微笑んだまま、椅子のあるレバーを回すと開脚椅子がゆっくり開き始めたのだ。
当然、固定された男の脚も一緒に開かれていく。
力を込めるも、抵抗むなしく徐々に徐々に、診察を受ける妊婦の様に。
「て、てめぇっ!マジで今すぐ止めろっ!!」
だが志保からは何の言葉も返って来ず、ただ鼻歌が部屋に流れるだけ。
そのまま椅子は完全に開き切ると、生まれて一度たりともしたことの無いポーズに男は焦った。
裸のまま、犯そうとした女の前であられもない姿を見せてしまう自分に。
最早、男の脚は完全に開かれ、その間にある尻の穴まで志保には丸見えだった。
屈辱で眩む視界の中、何かしていた志保がゆっくり微笑みながら近付いてくる。
必死に身体を動かすも、鍛えられた肉体ですら拘束は解けない。
「……お、おぃ…な、やめ――」
「あーモモちゃん綺麗なピンクのアナルだ♪全然使ってないでしょー?」
「あ、当たりま――」
『にゅぶっ』
開かれた脚。そして叫ぶに集中する余り、そこはローションを塗られたそれをあっさりと受け入れる。
「――んぉっ…ぉ、あ、ば…やめ…ひぅ!?」
「んーまだ指一本でもきついねー。じゃ、取りあえず出しちゃおうか♪」
「…っ!?んおっ、お、お、んぁぁっっ!!??」
『どぷっ』
突然訪れた射精感。そのままに男はあっさりと吐き出した。濃い精液を。
ペニスの裏側が妙に熱く疼くままに。
訳も解らず、ただ急に熱い鉄棒を突っ込まれた様な衝撃だった。
ただそれは一瞬で脳内まで届き揺さぶると、快楽物質を溢れさせ脳を浸した。
初の感覚にガクガクと勝手に身体が痙攣する。
くらくらと、射精の解放感でぼやける視界の先で自らの先から溢れた精液が見えた。
だが、即座に気付かされる。
「ひぐっ!?な――んっ…あひっ、な、なんだこ―おぁっ!?」
普段なら…一度射精し終えると、気だるさとともに脱力感に襲われ興奮も下がることが多い。
事実、既にペニスは半勃起程度だし――そもそもさっきの射精時すら完全な勃起はしていない。
なのに今は、熱くなったペニスの裏側が更に熱を帯び、身体を震わせていく。
イった筈なのに止まらぬ感覚。より鈍く身体全体を襲い始めると自然と声が漏れた。
気持ちイイ……。
「あぎぃ…あ、あ、んおっぁ、まだい―――」
『どぷぅ』
更に濃い精液が先から迸る。
なのに――より熱が止まらない。
無理やり押し上げられる射精感。意志を無視し造り上げられる快楽。
ドクドクと脈打つペニスは、二度の射精で心なしかより萎えた様にも見るが、それでも押し出されるままに精液を出そうと昇り詰めていく。
もうじんじんと体中が熱く、背中まで汗をびっしょりかいていた。
熱が止まらない。無理やり産み出されるままに。
「どう?モモちゃん。初めてお尻でイった感想は」
「あ…んひぃ…ま、まだ――」
『どぷり』
再び押し上げられるまま吐き出された精液。
三度の射精で脳内がシェイクされるも、止まらない。
無理やり更に昂らされていく。
「チンコでイクのと違って何度でもイケちゃうでしょ?」
志保の言葉通り。
一度も経験したことが無い一瞬の3連続射精。
だがそれでも、止まらないのだ。
普通なら無理だと心のままに冷め引く感覚が。
穏やかに脳内が掻き回され無理やり昂っていく。
焦りや僅かに浮かぶ恐怖を掻き消して。
「ここはね~、男でも女と同じかそれ以上に気持ち良くなれる場所なんだよ」
もはや鈍く靄の掛かった脳内で志保の声が朧気に響く。
だがそれすら即、昂った感覚に消された。
泥酔するかの様に快楽で酔わされる。
「覚えて癖になると凄いから♪ケツマ○コって言って~―――」
言葉と共に強く掻き混ぜられた瞬間、四度目の射精が襲った。
痺れ痙攣する身体。構わず放たれた精液。
もう、ずっとイってるようなほどの感覚。
だが―――、次の志保の台詞で一気に吹っ飛んだ。
「チンコでガンガン掘られてる間ずっとイキっぱなしになっちゃう♪」
チンコ?掘られる??それって………。
聞き慣れた単語連なる言葉。 僅かの間を置き言葉の意味全てを理解する。
男に犯されてイク。男の俺が。
それは、自分の身に起きるなんてあり得ない筈のことなのだ。
こんな状況時ですら頭が冷め意識を取り戻すレベルで。
「ば…やめ―――んあぁっ!」
だが、せっかく冷めた頭を即座に新たに産み出された快感が塗り込む。
鈍く長く、じりじりと積もり上がり身体に染み込む気持ち良さ。
抵抗しようにも、動かせぬ手足に、どろりと重くねばつく何かが絡まって。
このままじゃ不味い!!!
意識はそう理解し拒もうとも、肉体がそれを受け入れていく。
「や、やめ…んぐっ、あぅ…とめ……」
最早懇願にも似た何かが口から出ようとするも、それすら喘ぎに取って代わった。
熱い息が止まらない。そう、もう自分でも喘いでいるのが解った。
不様な格好で、犯す筈だった女に尻の穴を掻き回されて。
だが、それがどんどんと止まらぬ快感を産み、イクのが止められない。
意識では解っている。このままでは本当に不味いと。
なのに指がぐにゃりと動く度に、震え、脳を溶かし、射精を促す。
身体が熱い。思う度に気持ち良さが全身を襲う。
「そうなったらモモちゃんも、もう喜んで男にお尻振ってチンコおねだりする立派な女装マゾ♪」
「やめろぉぉぉ!!!」
「早くトロトロのケツマ○女装マゾになろうね、モモちゃん♪」
『ぐにゅぅぅぅぅ』
「んあーーーーーーーーっ!!!!!!」
『どぷぅぅ』
どろりと、自らの叫び声を無視して五度目の射精をし精液が零れ落ちた。
既にペニスはぐったりと垂れ硬さを失う。
なのに…指は動き続け、延々と尻から送られる感覚ままに、脈打ち次の射精を待ち望む。
力の入らぬ身体が、ただ自然と快楽に合わせ痙攣し、また昇りつめた。
『ぐにゅ…ぐ…』
「んぁ…あ……あ……んっ…や…め……あっ、あ、あ、またイ―――」
『びゅぐ』
「あぁぁ~~~~んっ!!」
「あはははは、可愛い声でちゃったねモモちゃん♪もうカママゾ化してきちゃった~?」
志保の笑い声が部屋に響くも、その声はもう男には届いていなかった。
半分以上、意識を失った様な状態ですら、男の脳内は与えられ続ける快楽に溶かされイキ続けているから。
「……んっ…あぅ…ぁぁ……」
半開きの口から涎がつーっと糸を引き床に堕ちていく。
涎まみれの熱い吐息とヨガリ声が自らの口から出てることすら男は知らない。
だがそれ以上に―――今日の快楽と調教は………
これから与えられ続けるモノに比べれば遥かに優しく穏やかな事を、男は知る由もなかった―――。
テーマ : 18禁・官能小説
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